「褒める」の手抜きはバレている
こんにちは、いったです。
誰かを褒めるのって意外と難しいと思うときありますよね。
自分と異なる立場・考え方の人や、専門的な知識を持っている人、憧れる人を褒めることはさほど難しくないですが、ご機嫌取りの場面になると途端に大根役者が現れてしまいます。
一方、子どもを褒める場合はどうでしょう。
できるようになったとき、あきらかにある分野のセンスがあるなと思ったときなど、褒めポイントはたくさん浮かぶと思います。
しかし、岩手大学が小学生を対象に行った調査によると、「褒められている」ということを認知しにくい子どもたちがいることがわかりました。
教育現場(家庭含む)では意外と大きな問題で、この点を理解していないと、ひいきしていると感じてしまう子もいるかもしれません。平等に褒めているつもりでも、子どもたちにとっては、褒められていると感じていないことがあるのです。
つまり、褒めている(と思っている)回数と褒められている(と思っている)回数が一致していないということもあり得るのです。
褒められていると感じることと感じないこと
では、「褒め」の感じにくい子どもたちは、一体どんな時に褒められていると感じるのでしょうか。
セリフの例
「先月は分数の問題が10問中3問しかできていなかったけれど、今日は8問もできているね!よく頑張ったね!」
「○○さんが掃除を担当した場所はほこりが一つもなくて、本も順番通りに並べられていて丁寧だね!」
「○○さんは難しいテーマの話し合いでも積極的に意見を言っていてすごいね!」
これらは「褒められている」セリフです。
このように、”褒められている”と感じる褒めセリフには
1.変化を指摘する 2.具体的である 3.努力してきたことを指摘する
という要素が含まれていることが分かります。
また、ほぼ必須の条件として ”子どもの意図に沿っている” 必要があるということが明らかにされました。
これらの条件を守らない褒めセリフの例は以下のようなものです。
「昨日の授業、上手に出来ていたね!」
「給食当番きちんとできて偉いね!」
「○○さんの意見、びっくりしたよ!みんなに紹介してもいいかな?」
こんな風に、褒められたと感じない褒めセリフには
1.主語が不明確 2.抽象的である 3.ルールを守ったことを指摘している
という要素が含まれているものです。
このようなセリフを言われたとき、子どもたちは
「何について言っているんだろう」
「先生(お母さん/お父さん)はそう思ったんだ」
「やるのが当たり前なのになにがすごいの?」
と思っています。
何が、どんなふうになったことが、どうすごいのか
が入っていない褒めは、褒めの本来の機能を有していないので、手抜きの褒めといってもよいでしょう。
褒めるときだけ見ていればいいわけじゃない
ご覧いただいた通り、褒めの手抜きはバレます。
小手先で絞り出した褒め言葉は、心が伝わらないどころか嬉しくもありません。
子どもたちのことをいつも見ているからこそ、変化に気づけ、努力が分かり、具体的なエピソードを添えて伝えることができるのです。
たくさん見守っていることを言葉にして伝えてあげるためにも、”褒め”には全力で取り組んでみてください。
ここまで読んでいただけた方は、今回私がどこを努力したか、分かりますよね。
” 褒め ” お待ちしております。
参考文献
金野 浩二・山本 奬・大谷 哲弘(2019). ほめられたと思いにくい子供はどのように支援するとほめられたと思うのか? 岩手大学大学院教育学研究科研究年報, 3, 147-155.