夫婦の言い合い、原因は何?

 

こんにちは、いったです。

 

結婚当初は仲睦まじい夫婦だったのに、子どもを産んだら関係が変わってきたという話はよく聞きます。

 

いったいなぜなのでしょうか。この現象の一つの原因とも考えられる研究を発見したので紹介します。

 

話し合い、してますか?

子どもが3~4歳ごろから母親の子育てへの自信が減少し、夫への相談が減少するという研究があります。

 

その研究を行った方が、同年齢の子ども(3~4歳)を持つ夫婦を対象に調査を行ったところ、子育てに関する話し合いは結婚当初が最も少なく2割弱、妊娠期には半数程度になり、出産後には8割の弱の夫婦で行われていることが分かりました。

 

しかし夫婦間では納得感にやや差があり、男性の納得した割合は7割強なのに対し、女性は6割5分にとどまりました。

 

これはいったいなぜなのでしょうか。

それには、相手の子育てに対する批判が関わっていそうです。

 

話し合いをする夫婦

 

批判の受け止め方の違い

 

話し合いをしていると、どうしても熱が入り「こうしてほしい」とか「どうして○○をするの/しないの?」という意見が出てきます。

 

実は、このような意見の受け止め方が、男女で異なっているようなのです。

ジャンル別で見ていくと

 

・落ち込む

男性ー申し訳ない

「ある程度やっているつもりだったのに残念」、「そういわれてもうまくできない」など、求められるレベルの子育てをできていないことに引け目を感じ、申し訳なさを覚えるようです。

 

女性ーショック

「努力を分かってもらえない」、「全否定されたような気持ち」など、体に鞭を打って戦ってきた努力を否定されたように感じ、悲しい気持ちになることが多いようです。

 

落ち込む男性
落ち込む女性

 

・攻撃的になる

男性ーそんなことはないだろう!

多少なりとも努力はしている、という部分が認められず、否定されるためやる気がなくなってしまうというような感覚です。理由は”落ち込む”とあまり変わらないので、どちらの選択肢を選ぶか、ということなんでしょうね。

 

女性ーなにもしないのに!

あきらかに子育てをしている比重が高いのは私なのに批判するのはおかしい、というような、夫の「口だけ感」に不満を感じてしまうようです。こちらも理由としては似ていると思います。

 

怒る男性
怒る女性

 

・プラスに受け止める

男性ー妻の意見に尊重する

より多く子どもと接している妻の意見に納得する、という意見もあれば、納得しない部分もあるが従うしかないという消極的な意見もありました。いずれにせよ、子育ての比率が小さいことに引け目を感じて、という意味を含んでいそうです。

 

女性ー納得・感謝

女性にしかない意見として、”感謝”がありました。自分では気づかなかった改善点などを得られることや、自分と子供のことをしっかり考えてくれているという意見があり、「助言」のように受け止めている方もいるようです。

 

納得する男性
納得する女性



背景にあるものの考え方

 

夫婦で批判の受け止め方に違いがあることが分かりましたが、この違いはどこから来るのでしょうか。

 

調査によると、”相手の意見にどんな背景があると考えているか”の違いが、批判の受け止め方に違いを生み出しているようです。

 

・男性

性格傾向・育った環境や育児感・家庭内の役割感の違い

 

・女性

性格傾向・育った環境や育児感・親役割感の違い夫婦関係のひずみ

 

男女とも性格の違いや育った環境による”育児”の考え方の違いが挙げられました。しかし赤字で示した部分はどちらかでしか挙がらなかった意見でした。

 

つまり、男性は育児について「家庭内で役割がある」と考えていて、女性は「親としてどうあるべきか」と考えているようです。

 

ここに、話し合いがうまくいかない原因がありそうです。

 

女性目線からすれば「これはやっているのに」という男性の意見は意味を持たず、「親としてこれをやってほしい」と考えている。

男性目線からすれば「親としてこれはやってほしい」とお願いされるものについて「これは苦手だから妻の役割にしてほしい」と考えている。

ということです。

 

また、女性だけが意見のぶつかりを「夫婦関係のひずみのせい」と考えることがあるようです。女性のほうが、この関係で子育てがうまくやっていけるのか、という長いスパンの視点があるように思えます。

 

意見をすり合わせるには

この研究を見ると、話し合いの際、かなり直近の子育てについて話し合っていることが多そうです。気になることがあって話し合いになるのでしょうから、意見がぶつかり合うのは避けられないことのように思います。

 

それが夫婦関係のひずみにつながったり、関係の解消などにつながってしまえば元も子もありません。

 

気になることがある前に、育児感や育った環境を聴きあい、どんなふうに子育てを考えているかまとめたものを作ってみてもいいかもしれません。

その考えのもとはどんな理由から来ているのか、目標に向かうに別の選択肢はないのかなど、差し迫ったタイミングではないときであれば、冷静に意見を聴けることもあります。

 

「よし、今日こそは言ってやる」とエネルギーを使う必要がないように、できるだけはやく、「すり合わせておく必要のある考え方の違い」はどんなものがあるのかを、確かめておくのが良いのかもしれませんね。

 

笑顔の家族

参考文献

清水 嘉子(2020).育児期にある夫婦ペアレンティング――互いの育児の批判をめぐって―― 日本助産学会誌,Advance online publication. https://doi.org/10.3418/jjam.JJAM-2019-0009