【子供の成長】相手の気持ちになると絵を変える?
こんにちは、いったです。
突然ですが、「相手の気持ちを考えてごらん」というセリフを言ったり聞いたりしたことはありませんか?
子供は自己中心性が大人より強いので、ついついよく使われるセリフだと思います。
しかし最新の研究によると、未就学児でも、自発的に相手の気持ちを考えることができることが明らかになっています。
今回紹介する研究は絵を用いたものです。
絵を描くこと=伝えること
子どもはよく絵を描きます。
今ではほとんど絵を描かない方でも、小さい頃はよく描いていた気がするということがありませんか?
久しぶりに実家に帰ると、身に覚えがないような絵をお母さんが大切にとっておいている、なんてこともよくあります。
ではなぜ絵を描くのでしょうか?
子どもにとって絵を描くことは遊びの一つでもありながら、意思表現の一つでもあります。絵を描くより前の子どもたちでは、指差しをよく使います。「僕はこれを見てるよ!お母さんもみてる?」という意味を持っています。
絵も同じで、「僕はこれに興味があるよ!」という意思表示なのです。だから、子どもたちは絵が伝わらないと困ってしまいます。
他者に伝える
伝えたいものが伝えられないとき、子どもたちはどうするのでしょう。
最新の研究では、5歳程度の子どもたちでは、おおよその場合相手の気持ちを汲み取って自分の表現を変えることができることが明らかになっています。
具体的には、絵を描いてプレゼントした際、受け取った相手が異なった解釈をすると、特徴を書き加えたりより形を近づけたりして、相手にわかってもらおうすることが分かっています。
自分がこう思うからというものではなく、「ここが丸すぎたから間違っちゃったんだと思う」というように、相手の解釈の原因を考えることができるのです。
”相手の気持ちになる”をどう伝えますか?
絵を調整すればゲームが続けられる、という状況を作った別の研究では、先ほど紹介した研究より正確に修正しようという姿勢が見られることも分かっています。
これはいわゆるご褒美と罰を用いた強制的な方法です。
そんなことをしなくても、伝え方ひとつで相手の気持ちを考えることができるのです。
例えば絵を描いているときに、何を描いているのかを尋ねたうえで「上手だね。あ、ここをこんな風に見たらこの絵は○○にも見えるね」などと伝えてあげることで、気持ちを汲み取って新しい絵を描いてくれるかもしれません。
また、先ほどの研究では5歳児の中でも絵の修正をしない子どももいることがわかっています。
子どもの発達は本当に人それぞれです。今、目の前に現れているものだけでなく、いつ現れるか、何が現れないかもすべて個性・特性なのです。
子どもの一挙手一投足に、フラットな興味を持って接してみてください。
そこには、こちらのほうが気づかされることがたくさんあるかもしれません。
参考文献
山田 真世(2014). 幼児期の描画における意図の発達――命名行為の変化の検討 発達心理学研究, 25(1), 47-57.